
2019年11月に中国で発見され、その後世界で感染が拡大した新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)は、非常にたくさんの業界が大打撃を受けました。サッカー界も例外ではなく、2020年中に開催が予定されていたナショナルチーム同士による国際試合だけでなく、世界中のフットボールリーグもスケジュールの変更を余儀なくされました。本来であれば、夏にヨーロッパ選手権(EURO)、コパ・アメリカ(南米選手権)、夏季オリンピックとビッグイベントが続けて開催されるはずでしたが、いずれも2021年に延期となりました。2020年6月の時点で新型コロナウイルス感染症の有効な治療法はまだ確立されていないため、再設定された2021年の夏に感染が収束しているとは確実にいえず、今後の状況次第では大会そのものが中止となる可能性があります。
日本のJリーグについて述べると、2020年のJリーグは夏にオリンピックが開催されることを考慮して例年より早い2月21日に開幕とするスケジュールが発表されていました。2月の時点で既に国内の複数の地域で感染が確認されており、その数は増加をしはじめていましたが、できる限りの感染症対策を施した上で第1節の試合が行われました。当初は第2節以降もスケジュール通りに行われる予定でしたが、第1節終了後の2月24日に新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーから「今後1~2週間が急速に感染が拡大するか、収束できるかの瀬戸際である」といった見解が発表されたのを受け、Jリーグの緊急理事会が招集され、次節以降の試合の延期が決まりました。最初は3月18日からの公式戦再開を目指して準備をしていましたが、感染がおさまるどころか徐々に拡大をしてきたことや、選手から数名感染が判明した者が出たこともあって再開時期はどんどん後ろ倒しになり、最終的には4月3日に時期を決めずに延期することを決め、リーグは完全に中断されました。
Jリーグでは感染症対策や公式戦の日程などを再検討し、5月下旬に新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が解除された後に新たな公式戦のスケジュールを発表しました。6月27日にJ2リーグが、7月4日にJ1リーグが再開される予定ですが、再開後の最初の2節は無観客試合となります。観客を入れた試合は7月10日以降に行われる試合から行われる予定となっていますが、感染が再拡大して影響が広がってくると解禁が先送りになる可能性があります。