
サッカーの各国代表チームのユニフォームの多くは、それぞれの国の国旗をモチーフにしたデザインが多い傾向にあります。
そのテーマカラーは選手やサポーターにとって大きなアイデンティティーになるだけではなく、試合中にはレフェリーが選手のチームを見分けて判定をするためにも重要な役割を果たしています。
基本的にはホームチームがテーマカラーのデザインとなり、アウェイチームは見分けるためにホワイト基調にしたり相手チームと被らない反対色をベースに、ラインやエムブレムにテーマカラーを施したデザインとなることがほとんどです。
Jリーグの場合はこの2種類だけでは他のJリーグチームと被るケースがあるため、さらに異なるカラーのサードユニフォームを用意しているケースもあります。
一方、日本代表チームのユニフォームを見てみると、2009年に侍ブルーという愛称が決定してから長きにわたって濃い藍色をベースにしたデザインを採用しています。
多くの国々がそれぞれの国旗をモチーフにしているのになぜ日本代表は、あの日の丸の国旗のホワイトとレッドをベースにしないのかと疑問に思う方も少なくありません。
かつて日本代表は、ホワイトとレッドをベースにしたユニフォームを採用していた時代もありましたが、後に変更しています。
その理由のひとつは、好成績を出せなかった時に気分を一新する意味も含めて、デザインを大幅に変更することがしばしば行われていたのも事実です。
今でこそワールドカップ予選は必ず突破することを誰もが疑わないほどの常連国となった日本ですが、かつては長く苦しい時代も続いていました。
大きな転機となったのが2008年に日本代表チームの愛称が侍ブルーに決定したのを機に登場した新デザインで、この時から現在も続く濃い藍色の侍ブルーが採用されています。
その由来は戦国時代まで遡り、戦いに挑む武将たちが鎧の下に藍色に染めた着物を着用するのを、縁起担ぎで「勝ち色」と呼んだのが始まりです。
当時、藍色は原材料が貴重だっただけではなく染め物の高度な技術も必要で、濃い色を出すために布を叩きながら染める手法を「カツを入れる」と言い、それがいつしか勝利の「勝を入れる」と解釈され、濃い藍色を「勝ち色」と呼ぶようになったという説が有力です。
この戦いに挑む姿勢と縁起を担ぐ勝ち色の象徴として、濃い藍色の侍ブルーを選手が身に纏っています。
このように、侍ブルーは日本代表サッカーチームのテーマカラーに採用されたのには、長きにわたる歴史から続く秘められた意味がありました。